FRB、QT(量的引き締め)を緩和、Treasuries のRedemption Cap を縮小【2025年3月の FOMC】
2025年3月の FOMC(Federal Open Market Committee、連邦公開市場委員会)で決定された QT(Quantitative Tightening、量的引き締め)について、FRB(Federal Reserve、連邦準備制度)の Balance Sheet(バランスシート、貸借対照表)と商業銀行の動きを中心に解説。
FOMC とは何か
FOMC は、アメリカの Monetary Policy を決定する12人からなる委員会だ。FRB が主導し、金利(Interest Rate、利子率)やマネーサプライ(Money Supply、通貨供給量)を調整して、インフレ(Inflation、物価上昇)や経済成長をコントロールする。例えば、物価が急上昇して生活費が上がるのを防ぐのが彼らの役割だ。
QT とは何か
QT は、FRB が市場のお金の量を減らす政策だ。以前は、QE(Quantitative Easing、量的緩和)で経済を支えるため、FRB が大量の国債(U.S. Treasury Securities、アメリカ国債)を購入し、Money Supply を増やしていた。しかし、お金が増えすぎると Inflation が進み、例えばコンビニ弁当の値段が500円から700円に跳ね上がるような状況になる。
現在は逆だ。QT では、FRB が保有する Treasuries を減らし、市場の流動性(Liquidity)を吸収する。2025年3月の FOMC では、Treasuries の再投資(Reinvestment)を削減する形で QT を調整した。
具体的には、満期(Maturity)を迎えた Treasuries の毎月の償還上限(Redemption Cap)を25億ドルから5億ドルに縮小し、再投資額を減らしている。一方、住宅ローン担保証券(Agency Mortgage-Backed Securities、MBS)の Redemption Cap は35億ドルのまま維持されている。これにより、FRB の Balance Sheet が徐々に縮小する。
QT の他の手段
QT には他にも手段がある:
- Treasuries や MBS の直接売却(Outright Sales)
FRB が保有する Treasuries や MBS を市場で売却し、資産を減らす。 - 償還金の全額再投資停止(Full Runoff)
Maturity を迎えた証券の全額を Reinvestment せず、償還させる。 - 逆レポによる資金吸収(Reverse Repo Operations)
オーバーナイト逆レポ(Overnight Reverse Repurchase Agreements、ON RRP)で民間から資金を引き揚げる。
今回は Reinvestment 削減が中心だが、状況次第で他の手段が組み合わされる可能性もある。
FRB と商業銀行の Balance Sheet の動き
FRB が Treasuries を商業銀行から購入すると、商業銀行の FRB 口座に資金が振り込まれる。この口座の残高は Deposits of Depository Institutions(預金取扱機関の預金)と呼ばれ、FRB の負債(Liabilities)に計上される。仕訳は以下の通りだ:
- Debit(借方): U.S. Treasury Securities(アメリカ国債、資産)
- Credit(貸方): Deposits of Depository Institutions(預金取扱機関の預金、負債)
Treasuries が Maturity を迎え、償還(Bond Redemption)されると、FRB が Reinvestment しない場合、商業銀行の準備金残高(Reserve Balances)が減る。仕訳はこうなる:
- Debit(借方): Deposits of Depository Institutions(預金取扱機関の預金、負債減少)
- Credit(貸方): U.S. Treasury Securities(アメリカ国債、資産減少)
Reinvestment が削減されると、この Redemption プロセスで Reserve Balances が減少し、FRB の Balance Sheet が縮小する。これが QT の基本メカニズムだ。
法定準備金と市場 Liquidity
商業銀行は FRB に預ける準備金(Reserves)を持ち、その一部は法定準備金(Required Reserves)だ。ただし、米国では2020年3月以降、法定準備率(Reserve Requirement Ratio)が0%に設定されており、法的義務はない。それでも、銀行はリスク管理や Liquidity 確保のため、ある程度の Reserves を維持している。
Reserves のうち、必要額を超える余剰準備金(Excess Reserves)は銀行間市場(Federal Funds Market、フェデラルファンド市場)で取引される。余剰を持つ銀行が不足する銀行に貸し出すことで、市場の Liquidity が増す。また、Reserve Balances が多ければ、銀行の貸出余力(Lending Capacity)が高まり、Money Supply が拡大する。
逆に、QT で Reserve Balances が減ると、Lending Capacity が低下、Federal Funds Market の取引にも影響し、市場 Liquidity が縮小する。これにより、Money Supply が減少し、経済の「お金の流れ」が引き締まる。これが QT の目的だ。2025年3月の調整では、Reinvestment 削減のペースを緩め、Reserves の減少速度を抑えることで、Liquidity の急激な縮小を防いでいる。